相続」カテゴリーアーカイブ

終活セミナー

こんにちは。今日は終活セミナーのお知らせです。

12月1日(日)に宝性寺越谷別院の本堂にて行われる終活セミナーに、所長が参加いたします。

11月に行われたハワイの税金学会でも、「自分が生きているうちに自分の相続財産がどこに行くか、誰に渡すかを多くの人が決めているアメリカ人に対して、日本人は多くの人が決めておらず、生きているうちにその様な話をするのが好きではないようだ」という議論がありました。

確かにそうかもしれません。

ですが、日本人は「転ばぬ先の杖」という言葉があるように、備えておくことの重要性については良く知っていると思います。

いざという時に、最後の時に、周りの人を困らせない準備をしておきませんか。

4つの視点から専門家がお話します。

この機会に不安なこと、心配なことを解消するお手伝いができれば嬉しく思います。

是非ご参加ください。

日本の贈与税 その2

                  

 前回は暦年課税制度と相続時精算課税制度の概要の紹介をしました。今回はこの制度をどのように使い分けたらよいのかを考えていきます。

 まず、暦年課税制度を利用した贈与は贈与から3年経てば相続税には影響しなくなります。但し、基礎控除額が1年に110万円しかないので一度に大きな金額を贈与することはできません。とは言え、仮に、子、孫が5人いれば基礎控除額内の贈与でも年間550万円を無税で贈与できます。これを10年続ければ5500万円になります。仮にこの人が資産家で相続税率が50%掛かるのであればこの贈与で相続税が2750万円安くなったことになります。この制度は長期に亘って少しずつ子、孫に財産を移転するのに向いています。

 次は相続時精算課税制度です。基礎控除額が2500万円あり、それを超えた部分も20%の贈与税で済みます。でも、この財産は相続時には全額、相続財産に加算されて、相続税の対象になってしまいます。この制度は、例えば、子が家を建てる時にその敷地を贈与するといった場合に利用されます。これは節税策というより財産移転を早期にするための制度と考えた方が良いでしょう。また、相続時に加算される財産額は贈与時の価額ですので贈与財産が値下がりしていると損をしてしまいます。

日本の贈与税その1

今回は問い合わせの多い日本の贈与税についてです。

日本の贈与税は2種類に分かれます。

1つ目は1年間の基礎控除額110万円を超える贈与に対して課税される「暦年課税贈与」です。これはさらに誰に対する贈与にも適用になる一般贈与と、もう一つは受贈者が20歳以上の直系卑属に対して適用される特例贈与に分かれ、特例贈与は税率が少し低くなっています。

2つ目は「相続時精算課税贈与」です。これは原則として60歳以上の父母、祖父母から20歳以上の子、孫に対する贈与に選択適用されるもので2,500万円までは非課税でこれを超えた分に対しては20%の税率で贈与税が課税されます。また、この贈与額(非課税分も含めて)は相続税の申告時に相続財産に加算され相続税額が計算されます。次に相続時精算課税贈与で支払った贈与税額は相続税額から控除され、贈与税額の方が多かった場合はその分還付されます。相続時精算課税贈与は一旦選択すると取り消しができません。選択後は110万円が控除できる暦年課税贈与は利用できないことになります。つまり選択後は全ての贈与は相続税の対象になります。

暦年課税贈与と相続時精算課税贈与のどちらを選択した方が得なのかよく考える必要があります。

遺留分を無視した遺言

昨日、相続税の申告の依頼がありました。この相続、相続人が全部で7名、父親はすでに亡くなっていて今回は母親の相続です。10年前に作成された公正証書遺言がありました。ところが、この遺言によって遺産を貰える人は5名。残りの2人は何も貰えません。遺言の執行者は次女が指名されています。もうすぐ七七日なので遺言があることを他の相続人に伝えるのですが、間違いなく遺留分を請求してくるだろうとのことでした。

折角、遺言があっても遺留分を考慮していないと結局揉めることになってしまいます。この遺言を作成したのは司法書士さんでした。遺留分を考えなかったのでしょうか。それと、遺言の内容もどうも・・・共有が多いんですね。共有財産は処分に困ります。私も遺言作成を依頼されることもありますので遺留分には気を付けないと。「人のふり見て何とやら」ですね。

ヒデアキ

相続税対策だけの目的の養子縁組

1年前の判決ですが、相続税対策のためにされた養子縁組も無効ではないとの最高裁の判決が出ました。

こういった養子縁組は実際に多いのだと思います。もっとも簡単な節税方法ですから。

でも、この養子縁組は無効にならなかった。実はこの判決が出たのには日本の養子制度の実態があったのですね。昔から日本では養子縁組が実際の親子関係を作る意図でなくされたものが多かったのです。例えば、①ある身分の高い武士が町家の娘を好きになってしまった。ところが家格が違い過ぎて結婚できない。こんな場合、この娘を武士の家に養子にやります。これを2回ぐらい繰り返し、家格が同じくらいの家の養子になってから結婚します。②ちょっと前に高校入試に学校区という制限がありました。つまり住まいにより受験する高校が制限されていた時があったのですね。この頃、違う学校区の高校に行きたい場合、その学校区に住所がある親戚に養子に行ったりしていたそうです。③第2次世界大戦中、家督相続の時代、長男には徴兵の召集令状が来ない時期がありました。家を継ぐ者がいなくなっては困るからです。従って、徴兵逃れのために長男ではない男子が男の子供がいない家の養子になる。

と、こんな具合に養子制度は実際の親子関係を作るという目的から離れて利用されていました。この判決にはこんな理由があったのですね。