相続税対策だけの目的の養子縁組

1年前の判決ですが、相続税対策のためにされた養子縁組も無効ではないとの最高裁の判決が出ました。

こういった養子縁組は実際に多いのだと思います。もっとも簡単な節税方法ですから。

でも、この養子縁組は無効にならなかった。実はこの判決が出たのには日本の養子制度の実態があったのですね。昔から日本では養子縁組が実際の親子関係を作る意図でなくされたものが多かったのです。例えば、①ある身分の高い武士が町家の娘を好きになってしまった。ところが家格が違い過ぎて結婚できない。こんな場合、この娘を武士の家に養子にやります。これを2回ぐらい繰り返し、家格が同じくらいの家の養子になってから結婚します。②ちょっと前に高校入試に学校区という制限がありました。つまり住まいにより受験する高校が制限されていた時があったのですね。この頃、違う学校区の高校に行きたい場合、その学校区に住所がある親戚に養子に行ったりしていたそうです。③第2次世界大戦中、家督相続の時代、長男には徴兵の召集令状が来ない時期がありました。家を継ぐ者がいなくなっては困るからです。従って、徴兵逃れのために長男ではない男子が男の子供がいない家の養子になる。

と、こんな具合に養子制度は実際の親子関係を作るという目的から離れて利用されていました。この判決にはこんな理由があったのですね。

 

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