米国市民及び長期永住者が市民権、永住権を放棄する際、
①放棄する以前の5年間の所得税額の平均額が16万5千ドル以上
②純資産額が200万ドル超
③放棄以前の5年間に税債務がないことを証明できない
のいずれか一つにでも当てはまる場合は、出国税が課せられます。出国税は全世界にある含み益(課税されていないキャピタルゲイン)を有する資産を、市民権、永住権の放棄時に売却したものとして課税されるのです。
ただし控除があり、2018年は71万1千ドルを利益から控除できました。
日本でも2015年に同様な制度「国外転出時課税制度」が創設されました。対象者は戸籍に関係なく、
①有価証券などを1億円以上所有していて、
②国外転出する以前10年間において日本国内に5年を超えて住所または居所を有している居住者です。
この制度ができた背景には、富裕層の課税逃れがありました。租税条約により、有価証券のキャピタルゲインは所有者の居住国に課税権があります。これを利用して、多額の株などを持った富裕層がシンガポールや香港など、キャピタルゲイン課税のない国に移住し、そこで資産を売却することで課税を逃れるという租税回避行為が増えていました。これを防ぐべく、同制度が設けられたのです。