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2006年9月15日(金)

株式交換・移転税制の取扱は10月1日から変わります

 

 株式交換・移転とは、100%親子関係を創設することを目的とする会社の行為で、具体的には、完全子会社の旧株主が完全親会社に完全子会社株式を譲渡し、その対価として完全親会社が新株又は自己株式を交付することより行われます。

 つまり、株式交換・移転の当事者は、完全親会社と完全子会社の旧株主になります。

  そして、本年9月30日までの株式交換・移転の税制は、次の通りです。

(1)完全親会社及び完全子会社株主の課税関係

  この株式交換・移転は、完全親会社にとっては「資本取引」に該当するため課税関係は生じません。

 一方、完全子会社の株主にとっては、交換も譲渡ですからその譲渡益には課税関係が生じます。

 但し、

  1. 完全親会社が、完全子会社株式を完全子会社の旧株主の税務上の帳簿価額以下で受け入れていること。
  2. 交付資産に占める金銭等の割合が5%未満であること

 の2つの要件を満たすことで課税の繰延が認められてきました。

(2)税制適格要件が定められた

  ところが、10月1日以降行われる株式交換・移転は、他の組織再編制との整合性を図るため、合併や会社分割と同じ

  1. 企業グループ内における株式交換・移転と
  2. 共同事業を営むための株式交換・移転の2つに区分し、それぞれについて適格要件を定め、かつ
  3. いずれの場合においても金銭等の交付がないこと

 を前提に完全子会社株主の課税の繰延及び完全子会社資産の簿価継続を認めました。

(3)非適格株式交換・移転の課税関係

  非適格であれば、完全子会社において、一定の資産については時価による評価損益の計上が強制されます。

 また、完全子会社の旧株主にあっては、課税の繰延は認められません。

 なお、非適格であっても、完全子会社の旧株主が株式交換・移転の対価として完全親会社の株式のみしか取得をしていない場合には、課税の繰延を受けることができます。