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2009年12月2日(水)

民主党政策集INDEX 2009
最大の変革項目は贈与税
 
 

 政権交代が一種の合法的な革命のような印象を受けるこの秋の目まぐるしい政治ニュースの後で、来年度予算編成に伴う税制改正大綱づくりがいよいよ本格化してきました。

 税制も革命的な大変革をとげるのでしょうか。


予測のための公開資料では

 民主党はマニュフェストをさらに具体化した「政策集 INDEX 2009」を公表しておりますので、それをつぶさに読んでみると、大きな変革項目が沢山ありますが、中でも質的に最も大きな変革とならざるを得ない改正項目は贈与税です。

 そのまま実行されたら天地逆転のような改正になります。


遺産課税方式採用の連鎖

 INDEX 2009では「贈与税のあり方も見直します」と書かれているだけなので、見直しの内容は不明です。

 しかし、贈与税は相続税の補完税であり、相続税のあり方が変わると自ずと変わらざるを得ないものです。

 現行相続税は、相続人に課税する遺産取得者課税制度なので、贈与税についても贈与を受けた人に課税する受贈者課税制度になっています。

 INDEX 2009は、相続税について「遺産課税方式」への転換を唱っています。

 遺産課税というのは、遺産取得者ではなく、遺産そのものに課税する方式です。


アメリカの相続・贈与税・譲渡税

 アメリカの相続税は遺産課税で贈与税は贈与者課税です。

 また、相続財産は死亡時に被相続人が相続人に譲渡したような扱いになり、相続人が取得する相続財産に付せられる取得価額は相続時の時価となります。

 日本では、相続取得財産には相続税が課せられたとしても、それを売却するときの取得価額は被相続人の取得価額とされているので、相続による時価課税と売却による時価課税という2回課税がされることになっています。


自覚されている気配はなさそうだが

 民主党がなぜ遺産課税を唱えるのか不明ですが、2008/12/24公表の「税制抜本改革アクションプログラム」によると、格差拡大抑制策として相続財産の一部を相続人からではなく遺産そのものから社会還元させることが適当、としています。

 遺産課税方式採用の連鎖を自覚しているのかどうか、それとも連鎖はないのか、関心を抱かざるを得ないところです。