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2008年6月6日(金)

改正税法の公布の日
 
 

法律の公布・施行

 公布とは、成立した法律を公表し国民一般が知ることのできる状態に置くことで、憲法第7条に定める天皇の国事行為として法律は公布されます。

 また法律は公布後、その法律に定められた施行日から施行されます。

 その法律を施行するために特に準備や周知のための期間が必要ない場合や緊急を要する場合には、「公布の日から施行する」として即日施行を定めているものも多くあります。

 改正税法も大部分即日施行です。


改正税法の成立時刻と公布手続き

 2008年の改正税法は4月30日16時44分衆議院での再可決により法律となりました。

 この後、法律の公布のために法律に法律番号が付けられ(法律第23号ほか)主任の国務大臣の署名及び内閣総理大臣が連署し、閣議決定を経た上天皇に上奏され、御名御璽を賜ったのち官報に掲載されることによって公布は行われます。

 出された官報は平成20年4月30日付(特別号外第9号)でした。

 時間的に間に合うことだったのでしょうか?疑問です。

日切れと施行日

 日切れだった法律の施行日は公布日よりずっと前の4月1日に遡及するものの、租税不利益不遡及の原則により不利益な規定は公布日以降に適用される旨の確認規定が、同時に公布された政令に置かれました。

 4月30日公布施行の法律は16時44分に法律となり、その後多くの諸手続きを経て公布されています。例え公布が30日のうちに間に合ったとしても、その日の午前零時に遡る日付の公布施行というのは不合理なことですし、不利益不遡及の原則にも反します。

最高裁判例がある

 法律の施行の時間的な差を争う事件での最高裁の判決があります。

 判例は、国民が実際にその法律の内容を知ることができたかどうかを基準とするのではなく、国民が知ろうとすれば知ることができる状態になった時点としての、東京の官報販売所において閲覧・購入ができた時刻を公布の時刻としました。

 そうすると、改正税法の公布・施行の日付が4月30日であることも疑問です。