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2008年3月19日(水)

条 件 付 契 約 停止条件と解除条件
 
 

 契約する時に、よく将来の不測事態に備えて条件を付すことがあります。

 不動産などの売買であれば、借地権付建物売買契約の際には「地主さんの承諾が得られれば契約の効力が発生する」とか、また、住宅の購入の際には、「融資が不成立の時は契約を解除する」など例として挙げられます。

 前者を「停止条件付契約」、後者を「解除条件付契約」と呼びます。


(1)停止条件契約と解除条件契約

 停止条件契約とは、法律行為の効力の発生に関する条件を言い、ある条件が成就したときにその契約の効力が発生します。

 先の例では「地主さんから承諾が得られた」ときです。

 一方、解除条件契約とは、法律行為の効力の解除(消滅)に関する条件を言い、ある条件が成就したときにその契約の効力は解除(消滅)となります。

 先の例では、「融資が不成立」になったときで、解除条件の場合は、今まで成立していた契約が遡及的に解除(消滅)となります。

 このような、法律行為の効力の発生・消滅を将来実現するかどうか不明の事実にかかわらせることを「条件付法律行為」と呼ばれています。

 但し、契約に条件を付すことは自由ですが、その条件が不法行為、公序良俗等に反するものは無効です。

(2)法定条件

 この法定条件とは、法律で定められた条件が成就したときに効力が生ずるものです。

 具体的には、遺言の効力発生は遺言者の死亡で、遺贈の効力は受遺者の生存です。

(3)税務と解除条件付契約

 税務では、もっはら、解除条件付契約でその契約が遡及的に解除された場合の取扱が問題になります。 

 例えば、不動産を譲渡して多額の税金を申告納付、その後、解除条件が成就してその契約が消滅した場合です。

 一般的には、その譲渡が個人の譲渡所得であれば、更正の請求は可能です。

 しかし、継続企業を前提とする法人税や所得税の事業所得にはこの適用はないものと解されて、法人税の取扱では、その事業年度前の事業年度において収益計上した資産の譲渡契約が解除された場合には、その解除による損失は契約解除がされた事業年度の損金の額に算入することとされています。