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2008年3月3日(月)

偽装でも…?

 
 

 昨年はニュース等で「食」の安全性や偽装などについて数多く報じられました。

 そのうちの多くは原材料の期限等に問題があるようですが、そのような不適切な原材料等の支出も税法上では必要経費となってしまうのでしょうか?今回は確定申告も近いので、個人事業者の場合にはどうなるのか、検討してみましょう。


所得税法において必要経費は

 「総収入金額を得るため直接に要した費用の額(原価)」又は「所得を生ずべき業務について生じた費用(販売管理費等)」とされています。

 原価の場合の問題は、「不適切な手段で得た収入が『総収入金額』となるのか?」という点です。

 この点に関しては所得税基本通達36-1において「『総収入金額に算入すべき金額』は、その収入の基因となった行為が適法であるかどうかを問わない。」とされていますので、不適切な手段で得た収入も所得税法上は「総収入金額」となり、そのために要した原材料等も必然的に「総収入金額を得るため直接に要した費用の額」となります。

 その支出が原価ではなく販売管理費等である場合にも、不適切な行為自体が業務となっている以上「業務について生じた費用」であることに間違いはないため必要経費となることになります。

 感情的には納得しがたい部分もありますが、現在の所得税法では一般的に「違法なないし不法な支出も、別段の定めがない限り控除を認めるべきとするのが通説である。(金子宏・租税法[第12版])」とされていますので、法解釈的には認めざるを得ないところです。


認められない経費もあります

 しかし、所得税法においても、所謂「賄賂」や不正競争防止法等に抵触する金品は、経費として認めないとの別段の定めがありますので、ご留意ください。