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2008年2月29日(木)

ISOとは その支出の損金性

 
 

中小企業の間でもISO認証を取得するケースが増えています。ISOとは国際標準化機構の略称です。


ISOとJIS

 ISO規格は個々の製品の品質を保証するものではなく、製品等を供給するための一連の品質管理システム等を備えているかどうか、つまり、企業の品質保証体制について認証する規格です。

従って、JIS規格が日本国内の製品規格に対する認証であり、その認証マークは個々の製品につけることはできるのに対し、ISO規格の認証マークは会社案内や名刺につけることはできても個々の製品につけることができるものではありません。


ISO効果

 事業者はISOの認証登録を受けることにより、国際基準を満たした品質管理システムを有していることを対外的に示すことができ、得意先等に好印象や安心感を与えるとともに、対内的にも業務の標準化による効率化や記録の保存による検証可能性を増加させることができます。


税務からみたISO

  1. ISO規格の認証登録は、排他的な利用権を有する法的権利を取得するものではないことから工業所有権には該当しません。
  2. ISO規格の認証登録を受けることによる効果を直ちに超過収益力の発生とは言い難いことから、営業権には該当しません。
  3. ISO規格の認証登録を受けるための支出は、現在の取引関係を維持するための支出という面もあることから、市場開拓のために特別に支出する費用とは言い難く、開発費には該当しません。
  4. ISO規格の認証登録を受けるための支出は、定期審査を拒否する等の一定の事由が生じた場合には登録の取消し等の措置がとられることから、その支出の効果が1年以上に及ぶとは言い難い面があり、自己が便益を受けるための費用(法令14@九ホ)には該当しません。

検討の結果は一時の損金

以上検討のとおり、当初の認証登録に際して支払う手数料は、無形固定資産や繰延資産の取得等には該当しませんから、その支出する日の属する事業年度の損金の額に算入するのが相当です。登録後に支出する手数料も、同様に取り扱うのが相当です。