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2008年2月22日(金)

非適格1円が主流
退職金用新株予約権

 
 

上場企業では、役員退職慰労金制度をやめて自社株を支給する成果連動型を採用する企業が年々増え、2007年末で158社と1年間で4割増えたと報道されています。


1円が主流

退職慰労金に代えて株式を付与する株式報酬型ストック・オプションの採用のことです。

権利行使時の払込価額は通常最小単位の1株1円と設定され、付与された者は必ず権利を行使します。そして取得した株式を売却して現金に替えます。

毎年新株引受権を付与して積み立て、取締役を退任した時に権利を行使できるようにする制度なので、長期に頑張って株価が上昇すればそれに応じて収入が増えるというのがミソです。

また退任慰労金に代わるものなので、権利行使期間は割当日から30年以内というように長
期で、かつ取締役を退任した翌日から10日間などの行使条件がつけられているのが特徴のです。

非適格なれど退職所得税制適格

1円行使価額という設定では、売却時の10%株式譲渡所得という税制適格ストックオプションには該当しません。しかし、行使条件が退職金の現物支給に類似する要件を備えていれば退職所得課税の対象となります。権利付与時の課税はありません。

 なお、会計処理的には、付与時に給与費用の計上をするのですが、税務上これは無視されます。


非上場MBOインセンティブにも利用

 後継者難の非上場企業の場合にも、インセンティブ手法として1円ストックオプションを活用することも可能です。

  士気の低い後継者に対し、1円ストックオプションを仕込むことにより、オーナー株の一分の無償供与をバネにして、創業オーナー株主の創業者利益実現を図るものです。行使条件は、株式売却(M&AやMBO)の積極的協力者になり、それを実現することです。