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2008年2月21日(木)

子供税(KiddieTax)

 
 

アメリカの税制

 レーガン政権の下、多額の配当や利子などを受け取る投資家が、高い税率の適用を回避するため、所得のない自分の子どもに投資所得をつけかえて確定申告していました。こうした問題に対処するため、14歳以下の子供の場合は、親の所得だと扱って、親の税率(実際に課せられている累進税率の高い部分の税率)で課税することになりました。納税者は子供です。このルールがKiddie Taxです。

2005年に17歳に、2007年に19歳に子供の範囲が拡充しています。


日本での類似の制度

日本では、仮に親の投資所得を子どもの名義につけかえた場合、原則としては財産の贈与への課税があるべきですが、その捕捉が困難という現実的前提においては、実質所得者課税の原則により、その投資所得は親の所得とみなされ、課税されることになります。贈与課税なしには、納税義務は子供に移転しません。

 税率は当然に親の税率になりますから、この部分はアメリカと同じです。ただし、利子については源泉分離課税となっており、配当については申告不要の選択が可能なので、現実的には名義の異動は税額に影響を及ぼさないことが多い と言えそうです。

名義預金と贈与課税の現実

 名義預金に対しては贈与課税をするというのが原則ですが、捕捉が困難なため、名義変更時課税ではなく、捕捉時課税が課税執行のルールになっています。

そのため、相続税の対象となる財産の範囲を確定する時には必ず、子供や配偶者の名義となっている預貯金はチェックされます。


不動産や株式などは名義変更時

貯金とは異なり、不動産や株式などについては名義変更の事実の補足が容易なので、原則通り名義変更をもって贈与課税時期とする課税執行のルールとなっています。したがって、相続時に名義不動産とか名義株式というチェックはありません。名義者イコール真の所有者との扱いが原則となります。