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2007年12月26日(水)

投資減税等の法案 特例期限切れ 大丈夫?

 
 

 専門誌等で、いわゆる税金に特例を設けた「租税特別措置法」(措置法)の期限切れ(以下、“日切れ”と表記)が話題になっています。

 来年3月末で期限切れになる措置法は、国税と地方税を合わせ、主なものだけでも100以上にもなるとか。

 理由は、衆参の第1党が異なる「ねじれ国会」が原因のようです。

 この日切れ法案が処理できないとすれば、国民生活から企業経営、国際金融、貿易まで幅広い影響が予想されます。

 それは、「特例措置」といっても2年から5年ごとに延長が繰り返され実質的に恒久化し、企業活動や生活の「前提」となっているものが多いからです。

 それでは、企業経営に関連する期限切れ特例措置を少し見てみたいと思います。


(1)企業関連の特例税制に関して

  中小企業に関連するものとして、

  1. 中小企業者等が30万円未満の減価償却資産を取得した場合に、その取得価額の合計額300万円まで全額損金算入ができる制度
  2. 中小企業者等が機械等を取得した場合の特別償却または税額控除制度
  3. 設立後5年以内の中小企業者の「欠金の繰戻し還付制度」等
    があります。
  4. その他、情報基盤強化設備等を取得した場合の特別償却または税額控除制度
  5. 試験研究を行なった場合の特別控除などもあります。

    そして、極めつけは
  6. 交際費課税です。
    現行法では、原則、損金不算入ですが、期限切れになると「損金算入」になります。(これは朗報か?)

(2)非居住者のオフショア市場

 上記の日切れ法案も重要ですが、金融当局が最も心配しているのは、東京オフショア市場からの資金流出です。

 この市場で取引する非居住者の預金利子についての源泉所得税の非課税措置が来年の3月末で切れます

 そうしますと、市場規模50兆円以上といわれる資金の大部分が一瞬に国内から消え、国内金融機関に大打撃を与えるのではないか、この恐れです。

 いずれにしても、日切れ法案が処理できないような事態だけは避けなければなりません。