バックナンバー  2007年9月  2007年10月 
 

2007年11月9日(金)

亡くなった人の預金を引き下ろしたい場合には?

 
 

亡くなった人の財産はその後遺産分割の手続きを経て相続人等のものになります。  

 亡くなった時から遺産分割の手続きが終わるまでにはある程度期間が必要なのが普通です。

 では、その期間内に亡くなった人の預金を引き下ろさなければならないような場合にはどうしたらよいのでしょうか?


法律上、遺産分割の手続きが終わるまでは相続財産は相続人全員の共有になります。
 

 現金や預金のような容易に分割しうる財産は、相続開始とともに法定相続分にしたがって分割されるという判例がありますので、法律や判例上は、亡くなった人の預金であっても、自分の法定相続分の範囲であれば自由に引き下ろしても構わないことになります。

実際に銀行へ行って預金を引き下ろそうとするとそうは簡単には手続きができません。

 口座の名義人が亡くなった時点で口座は凍結されてしまい、原則として遺産分割の手続きが済んで新たな持ち主が決まるまでは手をつけられません。

特例的に引き下ろそうとする場合には

 相続人全員から支払請求書等の提出を要求されるのが一般的です。

 さらに必要書類として、亡くなった人の除籍謄本、戸籍謄本、相続人全員の戸籍謄本ほか、共同相続人全員の印鑑証明が要求されます。

 銀行という機関の性格上安全性に配慮し、このような実務上の取り扱いをしているのだと思われます。

しかし、相続人間で遺産分割などにおいて対立がある場合には、

 必要書類や署名押印を全員から集めることができず、結局預金を引き下ろす手続きを進めることはできない場合も多く見受けられますので、いわゆる「争続」になってしまいそうな場合には注意が必要です。