2007年11月7日(水) |
配当の代わりに
M&A株の自己株化
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税理士会機関紙で公開の節税手法 M&A等で買ってきた子会社株式の取得価額が高い場合には、子会社から配当を受ける代わりに、子会社にその株式を自己株式として取得させることにより、受取配当金の益金不算入と譲渡損の計上で、税務上の損金を多額に計上することも可能である、との節税手法が東京税理士会の機関紙で紹介されておりました。 損金発生のメカニズム A社の資本金1千万円として、発行済み株式1千株全株をB社が1億円で買い取り、その後A社に、999株を買い取らせたとしたら、B社にみなし配当収入8991万円と、株式譲渡損8991万円とが発生し、みなし配当は100%益金不算入ですから、実質譲渡損のみが残ります。 心配な行為計算否認規定 この場合、一部の専門誌により行為計算否認規定が適用される余地大とする情報がありましたが、冒頭の機関紙では、法人が法令に即した方法で自己株式を取得することが前提になっている限り、すぐに同族会社の行為計算否認規定を持ち出すには無理があるのではないか、と解説しています。 |
配当の代わりに 冒頭の機関紙で想定している「法令に即した方法」として、通常の配当収入を得ることの代わりに子会社に自己株式取得をさせることに触れています。 ちなみに、配当にせよ、自己株式取得にせよ、会社法上の分配可能額制限がありますので、この制限をクリヤーしていないと「法令に即した方法」にはならないと思われます。 メカニズムの要点 損金発生のメカニズムの要点は高額でのM&A株式取得であり、このM&Aで相手側売主に多額の譲渡益が生じている、という前提です。従って、買主側の損金は相手側益金に対応しているので、たんなる親会社・子会社関係の中では生じる余地はありません。
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