2007年11月5日(月) |
ブルドッグの損金手品
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自社の発行している株式を買い取って、これを消却しても損益計算書に載る株式消却損失など発生しません。 ところが、自社の発行する新株予約権を買い取って、これを消却すると損益計算書に載る新株予約権消却損失が発生します。 ブルドッグでは21億円余 ブルドッグソース鰍ェ米国投資ファンドのスティール・パートナーズに無償で割り当てた新株予約権を強制的に買い取った総額は21億円余で、現行会計基準では、これをそのまま消却すれば全額損失となります。 いったん外部の関係者に売却し、権利行使をして株式に換えてもらったうえで再び買い取り、自己株式として消却すると損失は発生しなかったのですが、そういう選択はされず、赤字転落となりました。
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ねらいは節税メリット 赤字転落を選択したのは法人税等の節約になることによる資金効果を期待してのことと解説されています。 実効税率を40%とすれば約8億5000万円の節税です。 でも、株式も新株予約権も証券取引法では同じ仲間の有価証券として一括して規定されているのに、計算規則や税法では別な取扱いになるというのは驚きです。 税法においても21億円余は損金 自己株式と自己新株予約権とは、会計においても税法においても、似て非なるものという扱いです。自己株式は資本のマイナス項目ですが、自己新株予約権は有価証券としての資産に該当します。 自己新株予約権を消却する時は、純資産の部にある新株予約権(無償発行の時は0)との相殺となり、差額は損益となります。 税法でも同じく損益処理になるのは、新株予約権が資本金等を構成するものになっておらず、どちらかというと預り金のような扱いになっているからです。 |
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