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2007年10月9日(火)

こんな税金、誰が申告するの!

 
 

 平成15年度の金融・証券税制の見直しで、
年間10万円以下の未上場株式の配当(少額配当)に対し、住民税の申告が義務付けられました。

 もちろん、所得税では申告不要です。

 上場株式であれば申告などと言った面倒な手続きは必要なく、原則として、所得税7%、住民税3%の計10%の源泉(特別)徴収で課税関係は完了です。

 それが、未上場株式の配当(少額配当も含む)となると、所得税で20%の源泉徴収をされたうえに、別途住民税分を自分で市役所や区役所に申告しなければなりません。


(1)上場株と未上場株の取扱い差の根拠

 しかし、こんな重大なことが何の議論もされず(当時、総務省からの提案もなかったように思います)、いつの間にか決まっていたというのが感想です。

 確かに、当時の与党税制改正大綱を見ると「少額配当にかかわる所得割(住民税)の非課税措置は廃止する」と一行書いてあるだけです。

 上場株式の源泉(特別)徴収税率10%、未上場株式だと20%、この差をつけることの理由のみならず、未上場株式の配当だけさらに住民税分を課税される理由も見当たりません。

 さらに、これまで少額配当には非課税だった住民税が何故いきなり課税になったのかの説明すらありません。

(2)少額配当を申告する人がいるの

 所得税の確定申告をする人であれば、ついでに住民税の申告もできます。

 しかし、年末調整で納税が完了している人の場合、少額配当に対する住民税納税のためにわざわざ市役所や区役所に申告用紙を取りに行き、必要事項を記入し、納税する人が何人いるかです。

 所得税において配当に関する「支払調書」の提出義務は、原則、年間10万円を超える配当です。

 したがって、課税側の市町村でも当該所得の捕捉は困難です。

 真面目に、正直に申告をした人がバカをみることになれば、ここでも課税の公平原則が歪められることになります。