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2007年10月5日(金)

税理士が保証人になって

 
 

やむなく保証人になって

 関与先への融資の連帯保証人になっているという話は昭和の時代にはよく聞きました。

 バブルの崩壊でトバッチリを受けたという話もあります。

 ちょっと前、関与先倒産に伴い借金の肩代り弁済をさせられ、保証依頼した倒産会社の社長に弁償を求めたという事例が判決となって出てきました。

 裁判費用と肩代り資金の貸倒損失とが税理士業の費用になるか、という訴訟になってです。

貸金業でないからダメ

 平成18年4月27日に地裁判決がありました。

 税理士業は関与先への貸付けを業務内容とするものではなく、また税理士が関与先に対する貸付けを通常一般に行っているという事実もないから、税理士の事業所得を得るために通常かつ必要なものとしての経費に訴訟費用も貸倒損失も該当しないとの内容でした。

 関与先でなかったら保証人になどなるわけがないということだったとしても、債務保証損失は税理士業としての事業関連性に欠ける、との判断です。


法律の規定はもっと広い

 「所得を生ずべき業務について生じた費用」は経費になるとの法律の規定に比べ、判決は「通常かつ必要」という条件を加重しています。

 条文の文理解釈としては不適切に思えます。


規律規則では禁止されている

 とは言え、税理士には守ることを要求している「規律規則」というのがあります。

 そこでは、「委嘱者と金銭の貸借をし、又は委嘱者の債務についての保証人となってはならない」と規定しています。

 そうだとすると、判決が債務保証について業務関連性を否定することとつながりがありそうにも思えます。