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2007年9月25日(火)
9月にも解禁か?預託証券市場の開設

 
 

 平成19年9月にも東京証券取引所は、預託証券を上場できるよう規則を改正するとの報道が専門誌等でありました。

 この預託証券は、既に米国や欧州では取引所が存在し、中でも米国の預託証券(ADR)は最も有名で、日本を代表する企業トヨタ・ソニー・日立などがニューヨーク証券取引所に現物株式での上場ではなく、この預託証券の形式で上場しています。

(1)預託証券とは

 外国企業が国外で現物株式をそのまま上場することは、海外各国の法制度などの面で困難(株式の決済、流通制度等)が付きまとう場合があります。

 そこで、株式をそのまま上場するのではなく、現地の銀行、信託銀行などに現物株式を預託し、それを裏付けに預託証券を発行して、それを証券取引所に上場するという方法がとられます。この証券が「預託証券」です。

 米国預託証券市場では、我が国をはじめ、イギリス、フランス、インド、中国、イタリアなど20ヶ国以上、300社以上の外国企業が上場しているそうです。

 言及すれば、預託証券は、外国企業が国外で資金調達手段として発行する代替証券と言えます。


(2)預託証券市場の将来性

 東証に預託証券市場が開設され、各国の優良企業が上場することにでもなれば、投資家とっても選択の幅が広がり、例えば、

 @日本株と同じように投資できる

 A今までより安い手数料で投資できる

 B為替を気にしなくてもよい

 C新興国企業に直接投資ができる

と、いったメリットが享受できます。

しかし、海外各国の優良企業といってもその国の政治・経済・社会情勢によって、業績などは大きな影響を受けることがありますので、デメリットもあります。


(3)預託証券市場と税務

 基本的には、預託証券は上場証券ですので、証券会社等を通して売却されれば、申告分離で譲渡益課税が行なわれるものと思います。

 また、配当は、海外配当ですので、外国企業の本国での配当課税の有無によって、租税条約等も考慮する必要があります。