2007年9月21日(金) |
原価は5%でかまわない |
原価は概算5%が原則 昭和27年以前から所有している土地や建物や借地権などは、売却した時の譲渡原価については、実際の過去の取引の事実がどうだったかよりも、まず売却収入金額の5%をもって、その譲渡原価とする、と法律で規定しています。 5%という概算の数値よりも、実際の譲渡原価が低い場合に、実際の数値を使うことは法律上想定されていません。 不利なことを敢えてやる人はいないからでしょう。 逆に、5%よりも、実際の譲渡原価が高いことが証明できる場合は、実際の数値を使うことを可能としています。 5%の範囲は拡げられた 昭和28年以後取得のものについて、その譲渡原価を売却収入の5%とすることは禁止されているのでしょうか。 条文に特別な規定がありませんので原則に立ち返り実際の譲渡原価を使用することになりますが、条文には積極的に禁止するとの規定もありません。 従って、概算値5%を譲渡原価にすることも可能との解釈の余地があります。 国税庁もその見解をとり、昭和46年以降措置法通達でそれを明らかにし、「昭和28年1月1日以後に取得した土地建物等の取得費についても、同項の規定に準じて計算して差し支えない」としています。 |
土地建物以外にも範囲は拡大 実際原価に代えて概算原価を採用することを可とする解釈が導き出される根本理由を敷衍すると、5%という概算の数値の採用は不動産に限らず譲渡所得一般に広く使用してよいものといえそうです。 すなわち、株式の譲渡に際しての譲渡原価などです。 国税庁がその見解を表明したのは平成4年で、「収入金額の100分の5に相当する金額を取得費として譲渡所得の金額を計算しているときはこれを認めて差し支えない」と所得税基本通達に記しました。 事業譲渡の有価証券にも範囲は拡大 さらに、平成5年には、有価証券に限ってではありますが、事業所得・雑所得の計算においても5%概算値の利用が可能との解釈を上記通達で開示しています。
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