2007年9月7日(金) |
時効、そう甘くはない! 国税徴収権(租税債権)の消滅 2 |
前回、時効が成立しない限り、逃亡した脱税犯の延滞税は大変な額になることを話題にしました。 そこで今回、 「国税徴収権の時効」がどのような場合にどのように機能するのか、その態様を概観して見たいと思います。
一般的に、国税徴収権の時効は5年、偽り不正といった脱税等の場合は、当初の2年間は時効が停止し、7年となります。 これら時効の期間は、申告及び無申告後の更正、決定等がない場合の期間であり、国税の賦課権(更正、決定等)の期間制限と一致します。 しかし、現実に、更正、決定及び督促等があれば、時効は中断します。これら時効中断の効果によって、そこから更に時効5年が進行します。 また、所在不明であっても、税務には公示送達という制度があり、税務署からの督促状等の通知が届かなくても、この制度によって、相手に届いたものと見なされるわけです。 したがって、時効直前に、督促状等を公示送達し、これを繰り返せば、時効は半永久的に成立しません。この意味で、時効は大変です。 |
(2)時効成立(租税債権の消滅)の場合 しかし、そうは言っても時効が成立(租税債権の消滅)する場合もあります。法人が破産終結の登記がされたときです。 もはや残余財産がないので、督促状等を出しても意味がありません。 また、個人の場合は、破産によっても租税債権は、非免責債権とされていますが、徴収法で一定の要件が充たされた場合には、滞納処分の執行を停止し、この期間が3年間継続したときは、租税債権を消滅することにしています。
税務における時効の効果は、絶大的です。 すなわち、援用も不要、時効の利益も放棄できません。 利益の放棄ができないとは、時効成立後、脱税犯が反社会的行為に反省して、いままでの税金と延滞税を納めたいと言っても、国は受領できないということです。
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