2007年9月6日(木) |
重加算税より 延滞税が怖い!1 |
珍事として新聞、マスコミ等で話題になった事件があります。 各紙の見出しは、概ね次のようなものでした。 「3億円の脱税、10年間逃亡」、「起訴42回で時効阻止」。 新聞報道等によるこの事件の概要はこうです。 「元社長は、平成6年、7年、約8億7千万円の所得を隠し、法人税約3億3千万円を脱税したとして、平成8年9月に関信国税局が前橋地検に刑事告発。 翌平成9年の春ごろに会社は倒産、その後、男性はこの刑事告発を逃れるため10年間逃亡。 しかし、前橋地検は法人税法違反罪で42回の起訴を繰り返し、異例の方法で時効完成を阻止、43回目の起訴でようやく初公判。 判決で、前橋地裁は懲役2年、執行猶予5年、罰金7千万円(懲役求刑2年、罰金1億円)を言い渡した。」 |
(1)公訴時効は5年で時効 公訴時効とは、犯罪後一定期間が経過することにより刑事訴追が許されなくなる時効のことで、脱税犯の場合は5年です。 専門家のコメントによれば、刑事訴訟法の規定では、 起訴で時効進行はいったん中断するが、地検は元社長の時効完成を防ぐため平成11年3月に、所在不明のまま脱税の罪で起訴、起訴状を届けることができないため、裁判所は公訴棄却を決定すると再び起訴することを繰り返していたとのことです。
脱税などの場合、課税の時効は7年です。しかし、判決によれば、被告は延滞税を約5億円納めているということですので、どこかの時点で、督促状等で時効中断の手続をとっているというこがうかがわれます。 通常は、延滞税は1年を超えての徴収はありませんが、脱税などの場合は、本税の未納税額が時効にならない限り、納期期限の2ヶ月を経過すると、未納税額に対して年14.6%の割合で課されます。 未納本税から計算すると約5億円相当の延滞税、この負担は、重加算税(本税の35%)の負担を遥かにしのぐ負担となっています。 逃亡しなければ、なにもこんな多額な税負担を背負うことなく、再起可能だったと思うのですが・・・ |
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