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2007年8月23日(木)
似ているようで違う
株式の分割と株式の無償交付

 
 

株式の分割は、
  株主が現に保有する株式を細分化するものであるのに対し、

 一方、

株式の無償交付は、
 新たに発行する株式か、会社が保有する自己株式を、株主が保有する株式の数に応じて割当てをするものです。

 この点、株式の分割と株式の無償交付は、いずれも会社の資産や資本金を変動させず、株主が保有する株式の数を増加させ、出資単位を引き下げる効果があります。

 しかし、株式無償交付の効果と株式の分割の効果は、主に、以下の点で異なります。

(1)自己株式に対する割当て

 株式の分割においては、当然に、自己株式の数も増加しますが、株式の無償交付においては、自己株式については割当てが生じません。


(2)自己株式の交付

 株式の分割においては、自己株式を交付することはできませんが、株式の無償交付においては自己株式を交付することができます。


(3)種類株式の割当て

 株式の分割においては、同一の種類の株式の数が増加するのに対し、株式の無償交付においては同一または異種の株式を交付することができます。

(4)会計処理の違い

 (2)の自己株式の交付に関してですが、株式の無償交付で、自己株式を割当て(処分)た場合、会計処理が必要になりますが、株式の分割の場合は、そもそも自己株式の交付がありませんから会計処理は不要です。

 ちなみに、無償交付の場合の会計処理ですが、自己株式処分差損が発生します。

 この差損をその他資本剰余金で補填できなければ、利益剰余金で補填するしかありません。

 この場合、税務上の調整が必要となりますが、課税所得には影響ありません。


(5)税務上の取扱

 発行法人における課税関係ですが、これらはいずれも資本取引ですので、課税関係は生じません。また、株主(法人、個人)の課税関係ですが、原則として、課税関係は生じません。