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2007年8月21日(火)
東京都が物納制度導入

 
 

東京型の「物納システム」

 東京都のホームページで、“都は、新たな納税の手段として、東京型の「物納システム」を2007年度中に導入する”と発表しました。

 ネット公売の仕組みを活用し、納税手段の選択肢を増やすことで、税収を上げるのが狙いで、東京都は、地方税での物納制度導入は全国初といっています。

東京都のネット実績

 東京都は全国に先駆けて2004年7月、都税滞納者の差し押さえ品のインターネット公売を開始し、これまで計20回実施されました。

 不動産、自動車、宝石、電化製品から日用雑貨まで豊富な品揃えになっています。

 その後、他の自治体も追随し、今ではおよそ半数近くの自治体がインターネット公売に参加しています。

「物納システム」の仕様

 オークションへの出品手続などの実務は東京納税貯蓄組合総連合会が担当します。

 納税者には手数料が必要となりますが、落札したらその代金を納税資金に充てることになります。

 今回の新納税システムの今後の動向にも、他の自治体からの注目が集まること必至でしょう。

ただし、擬似「物納」

 物納制度はわが国では相続税しか認められていないので、地方税を含め他の税金は現金や印紙証紙などで払うのが決まりです。

 東京型「物納システム」は本来の物納ではなく、ネット競売を活用することでの「事実上の物納」です。

 従って、相続税の物納による譲渡はなかったものと扱われ、譲渡益の場合も譲渡損の場合も非課税ですが、都税の「物納」はオークションへの出品による譲渡をして得た代金による納付ですから、譲渡益が出れば譲渡所得の申告が必要になるかもしれません。

 損の場合も然り、です。