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2007年8月16日(木)
税金よもやま話
人頭税・均等割

 
 

身長143cmを超えると税金

 薩摩藩の侵略で財政が窮乏した琉球王朝が1637(寛永14年)〜1903(明治36年)まで宮古島と八重山地方に課した人頭税は、高さ143cmの人頭税石の高さに身長が達すると男性は粟、女性は上布の納税が義務付けられたと言われています。

 この伝承を、大正時代に宮古島を訪れた民俗学者・柳田國男が、著書『海南小記』に書き記したことから人頭税石のことは全国に広まり有名になりました。

サッチャーの人頭税

 ヨーロッパでは、中世に人頭税制度があり、また、「鉄の女」と呼ばれたイギリスのサッチャー首相が、18歳以上の男女に一律に税金をかける人頭税(コミュニティ・チャージ)を1990年に導入したことで国民の反発を買い、その後の辞任の一因にもなりました。

 その後、メージャー首相になって1993年にこの税は廃止されました。


日本の人頭税

 コミュニティ・チャージとは地域住民税と訳せる地方税のことで、日本でも個人住民税(道府県民税と市町村民税)には個人均等割税がありますので、人頭税が存在しているといえます。ただし、1人年間4千円ですから、反乱にはならないようです。

 ただし、法人の人頭税たる法人均等割税は市県ごとに最低7万円、最高380万円ですから大変です。

人頭税の特徴

 人頭税は国民一人一人に均等に課税するという意味では最も公平な税といえますが、公共サービスとの応益関係や税負担能力を無視しています。

 このことから、特に経済的弱者にとっては過酷と評判の悪い代表的な税制となっています。

 外形標準課税の給与課税の部分を捉えて「平成の人頭税」と揶揄したり、個人消費に課税することを「人頭税」的と非難するときなど、悪役のイメージをもって烙印を押すときの用語となっています。