バックナンバー  2007年6月  2007年7月 
 
2007年8月10日(金)
社保滞納は横領告発
源泉税・消費税の滞納は?

 
 

社保預り金滞納は横領

 厚生年金保険料が未納となっていても年金を支給するという参院選むけの新政府方針を受け、支給原資を確保のため、時効の撤廃と取締役への責任転嫁の立法を予定するということのようです。

 社保庁は従来は企業の保険料滞納を民事滞納債務という扱いにしていましたが、今後は新法により保険料の横領として刑事告発して罰金や懲役を適用する方向と報道されました。

 7月11目(水)日本経済新聞の朝刊一面トップの記事でした。

従来の見解はどうだったか?

 横領罪が成立するためには、横領の対象となる「物」があることが前提で、保険料を滞納している事業主においては、資金繰りが悪化しているため、従業員に対して手取り分の給料を支払うために必要な資金をようやく調達しているだけであろうから、(そもそも、従業員給料より源泉徴収されることとなる被保険者負担分の保険料に相当する資金を当初から保有していないのが実態であるため)横領の対象となる物は存在していない、というのが従来の公的見解としての説明でした。

 したがって、徴収懈怠ではあっても、横領罪という犯罪の構成要件には該当しないとしていました。

源泉税や消費税はどうなる?

 源泉所得税や特別徴収住民税は社会保険料と同じく預り金ですから、社会保険料と同じ扱いをするのが本筋のような気がします。

 しかし、消費税や源泉所得税の納税義務者はあくまでも会社であり、本人と国の間に関係はありません。従って、会社自身の税金を滞納することであり社保料の滞納とは異なります。

 しかし、保険料や税金の徴収義務は無償の公的奉仕であり、全うしないと犯罪者とする、ということでは納得できない向きも多いのではないでしょうか。