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2007年8月9日(木)
最近の役員退職金事情
 
 

 平成18年度の法人税法改正で、役員退職金の支給については、当該退職金は役員の職
務執行の対価としての性質を有すること、会社法においても利益処分による支給ができないこと等を踏まえ、損金経理要件が廃止されました。

 これにより、役員退職金の損金算入時期は、原則として、株主総会の決議等で支給すべき退職金の額が確定した日の属する事業年度となりました。

 したがって、確定事業年度あれば経理処理の方法は問われません。


(1)支給事業年度における損金経理要件

 今回の通達改正では、実際に退職金を支払った場合には、その支払った日の属する事業年度において、その支払った額につき「損金経理」を要求しています。

 改正前の法人税法では、役員退職金の損金算入に際して損金経理を要件としていたのは、役員に支給した退職金が、職務執行の対価の後払いであるのか、それとも利益の処分なのか、確認するためのものでありましたが、今回の通達は、損金算入時期を確定するために要求したものと解されています。

 整理すると、改正後は、役員退職金の額が具体的に確定した日の属する事業年度で あれば、その経理方法としては、未払いであっても仮払いであっても損金算入が認められる一方、実際の支払い事業年度では、未払い、仮払い等の経理は認められないことになります。

(2)役員退職慰労金制度廃止と税務処理

 上場会社の株主総会の議案書に「役員退職慰労金制度を廃止し、在任期間に対応する役員退職慰労金を打ち切り支給し、支給時期を退任時とする」旨の記載内容が多く見受けられます。

 この制度廃止時の総会決議等では、各人別の役員退職金慰労金の額が確定するだけで、役員が会社に対して当該退職金の支払いを求めることができるのは、実際に、役員が退任した時ですので、このときが債務確定日となります。

 したがって、役員退職慰労金の損金算入時期は、役員が実際に退任した時の事業年度ということになります。