2007年7月23日(月) |
相続開始後の預金の払い戻し 金 融 機 関 と の 対 決 ! |
被相続人の預金につて、共同相続人の一人がその者の法定相続分の払戻しを請求しても、殆どの金融機関は、この要求を拒否します。 しかし、これでは、預貯金に関する相続人間の分割協議が成立しない限り、預貯金は使うことができず、相続人にとっては不測の事態に陥ってしまいます。 そこで、相続人の一人が、法定相続分に応じて預貯金を払い戻すよう、「銀行「と「日本郵政公社」に訴えを提起しました。 (1)銀行の対応と判決 銀行は拒否、その主張は、@本件預金に関する遺産分割協議が成立する可能性が存在し、債権の帰属が未確定であること、A金融機関実務として、共同相続人全員の意思に基づいて、一括して払い戻すことが事実たる商慣習となっていること、です。 これに対して裁判所は、@金銭などの可分債権(分割できる財産)は、法律上当然に分割され、各共同相続人は、その相続分において権利を承継するのであるから、A本件預貯金払戻し請求権も、可分債権であるから、当然に法定相続分に応じた払戻しの請求できると判示し、相続人に軍配を上げました。
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(2)郵政公社の対応と判決 一方、郵政公社は、通常貯金につていては法定相続分での払戻し請求を認めましたが、定額貯金については、郵便貯金法7条1項3号により、分割協議が成立しなしいと払戻しできない約定になっているので、相続人に法定相続分の払戻しはできないと拒否しました。 これに対して、裁判所は、「その約定に基づく制限は当然に相続人に承継される」として、郵政公社の主張を認めました。 そして、遺産である定額貯金は、他の可分債権とは異なり、預入日から10年が経過し通常貯金になるまでは、実質的に遺産の準共有と同様な状態になるとも判示しました。 それでも、金融機関の対応は、訴訟が提起されない限り、現行どおりの取扱です。 |
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