バックナンバー  2007年5月  2007年6月 
 
2007年7月18日(水)
円満な相続とその法務対策
 
 

円満な相続とは、

 それぞれ相続人が被相続人から貰った財産に多寡はあるものの、その後も家族としての親交がある場合と考えられます。

 また、相続税が課される人にあっては、これに加え、それなりに相続税の節税ができ、かつ相続税の納税資金の準備ができたとき言えるでしょう。

 相続対策と言った場合、もっぱら相続の税金対策が中心になってしまっている感がありますが、大多数の人は、相続税の課税がないのですから、むしろ、相続における法務対策の方に力点をおいた方が良いかもしれません。


(1)法務対策をしない場合の相続

 相続において、法務対策をしないと、どういう自体を招来するかと言えば、「各相続人がそれぞれ民法に従った相続分を取得する」と言うことであります。

 民法では、誰が相続人になれるのか、また、その相続分はいくらかを決めてくれているので、格別に対策を講じなくても、何とかなります。

 しかし、法律通りの相続が開始すると、紛争が生じると可能性があるとすれば法務対策を講じておく必要があるでしょう。

 ここでの「紛争」の意味は、遺産をめぐる家族関係の崩壊です。

 例えば、相続財産と言っても、自宅しかなく、その自宅には長男家族が住んでいて、他に相続人が3人いる場合などは、法定相続分での遺産分割は容易に解決ができず、紛争が生じやすいです。

(2)遺産分割の調停・審判

 相続人間で遺産分割協議がまとまらないときは、家裁での調停となりますが、全員一致でないと成立しません。

 また、審判に進んでも、審判官は特段の事情がなければ、法定相続分と異なる内容の審判を下すことができません。


(3)法定相続分を変えられる対策

 法務対策とは、この法定相続分を変えることです。

 これは、誰が、何時行うことが出来るのかですが、唯一、被相続人のみ、かつ、生前にしかできません。

 すなわち、遺言です。

 一定の限界はありますが、一応の道筋をつけてくれます。