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2007年7月13日(金)
デイトレーダーは事業所得?
 
 

 みずほ証券の「ジェイコム株大量発注ミス事件」で、わずか10分程度の間に約20億円の利益を得た個人トレーダーがいたと報道されました。

 1年半ほど前のことです。


本業なら事業所得か?

 デイトレード(日計り商い)とは、株取引等において1日で手仕舞いして損益を確定させる超短期の投資手法で、一日中、パソコンの前に座って、インターネット経由で売買を繰り返すのが“仕事”です。

 営利を目的として継続的に行っている本業・副業デイトレーダーの場合、所得判定としては事業所得又は雑所得になります。

 それで、事業又は雑所得とされると、高い累進税率が適用されるのではないかと推測されます。

所得が何かは関係ない

 しかし、そもそも株式に係る分離課税の制度は、株式に係る所得の種類を区別していません。

 たとえ事業所得や雑所得に該当する場合であっても、税額計算は、他の所得と区分して、分離課税としての税率を適用して行うこととなっており、平成20年末までであれば、何億円稼ごうとも税金は国・地方合わせて10%で済むことになっています。

 瞬間的に20億円稼いで、国税と地方税あわせて2億円、手取り18億円です。

 普通の事業所得の場合だったら1400万円超の部分は50%の税率ですから、随分差があります。

所得が違うことの意味

 所得区分の違いについては、事業・雑所得の場合、必要経費が認められますが、譲渡所得では認められません。一方、譲渡所得の場合には、平成13年9月30日以前取得上場株式等の取得費特例の適用を受けることができます。

 とはいえ、これらの違いはあるものの、他の所得と損益通算できないことや税率などは、いずれの所得区分であっても変わりはないので、多くの場合、税額計算に影響はないといえます。