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2007年7月4日(水)
預り金滞納の横領性と 延滞金の損金性
 
 

預り金滞納は横領か?

 従業員から強制的に徴収した社会保険料や雇用保険料をきちんと納入しなかった場合、刑法の横領犯に該当するのではないかとの疑問に対し、公式見解は、否としています。

 横領罪が成立するためには、横領の対象となる「物」があることが前提で、保険料を滞納している事業主においては、資金繰りが悪化しているため、従業員に対して手取り分の給料を支払うために必要な資金をようやく調達しているだけであろうから、(そもそも、従業員給料より源泉徴収されることとなる被保険者負担分の保険料に相当する資金を当初から保有していないのが実態であるため)横領の対象となる物は存在していない、と説明しています。

滞納延滞金は損金? 不算入?

 社会保険料の滞納事業所は相変わらず少なくなさそうですが、滞納した場合、延滞金が課されます。企業にとっては、延滞金がペナルティの意味を持つものであるため、税務上、罰金・過料と同様に損金算入することができないのではないか、と推測されます。

 しかし、法人税法では損金不算入税金等として、延滞金や罰金・科料・公取法等の課徴金などを限定列挙しているものの、厚生年金や健康保険、雇用保険や労災保険の保険料の延滞金については特に記載しておりません。


談合違約金は?

 昨9月入札談合事件で、公取委の課徴金納付命令を受け、国交省が入札参加業者に談合違約金の請求をはじめて行った、と報じられましたが、これも損金不算入とする特段の規定がありません。

原則は損金算入

 現行法上は、租税公課・保険料などの費用は明文をもって損金不算入とされていなければ、原則損金算入です。他の損金不算入附帯税と性格が類似だというだけでは損金不算入にはなりません。