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2007年4月18日(水)
電子申告 笛吹けど踊れず
 
 

 国税庁は、2010年度に電子申告の利用率を50%に引き上げる目標を掲げています。

 しかし、ネットでの申告には電子認証の取得が必要など、手間がかかり2005年度の利用率は0.3%にとどまっています。

 そこで切り札として登場してきたのが、5,000円の電子申告税額控除と税理士関与申告の場合の本人認証不要、第三者作成書類添付省略の3つの新制度です。

5,000円の控除

 この制度の適用を受けられるのは2007年分と2008年分の所得のどちらか一方で、控除不足があっても繰越はできません。

 また、この制度の適用を受けるためには、納税者自身が電子証明書を取得して、電子申告に添付する必要があります。

 電子証明書の取得費用はもっとも安い住基カード写真入りで1,500円、写真無しで1,000円、1年間の更新料500円です。

 また、電子証明書をパソコンで読みとるためには、3,000円以上するICカードリーダライターも必要です。

 したがって、電子申告するためには平均5,000円近い出費が必要で、しかもこれらを他に利用する機会はほとんどないでしょうから、行政協力謝金といったところでしょうか。

 

電子証明書の添付不要

 電子証明書を取得不要のケースは2つあり、税理士関与申告の場合と税務署でのタッチパネル利用の場合です。

 税理士関与申告の場合には税理士の電子認証のみで、依頼納税者本人の電子証明書の添付は不要で、これは今年2007年1月4日以後すでにはじまっています。

 税務署でのタッチパネル利用での電子証明書の添付不要は来年からで、多分、送信時に現場で何らかの本人確認をし、送信は職員が代行するのだと思われます。

 添付不要の場合には5,000円控除はないので、促進策としては疑問です。

第三者作成書類の提出省略

 電子申告のときは、医療費の領収書や国民年金・生命保険の控除証明書など第三者作成書類の提出省略で、3年間の保存義務に変わります。

 来年からの適用です。

 地味ですが、これが一番の制度改革でしょう 。