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2007年4月17日(火)
分離課税と分離申告
 
 

 「分離課税」という言葉がもたらすイメージからか、不動産の譲渡や株式の譲渡があって、申告が必要というとき、他に事業や不動産貸付収入などの毎年の所得申告があるけれども、これとは切り離して、譲渡の申告だけ依頼したいと言われることがあります。

 分離課税の申告ではなく、分離申告の依頼なわけです。

分離申告の制度はすでにある

 地方住民税の退職所得は「分離課税」といわれていますが、その実質は「分離申告」です。他の同一年の所得とは一切のプラスマイナスがないばかりか、申告年度さえ異なります。

国税に分離申告の制度があってもよい

 不動産の譲渡も株の譲渡もそれぞれ他の種類の所得とはプラスマイナスしないので、基礎控除などの所得控除の適用なし、ということを前提に完全分離申告という制度にしても、特に差し支えはなさそうに思われます。

 

譲渡所得を分離申告したらどうなる

 時間がなくて、緊急避難的に分離申告をして、納税してしまったらどうなるでしょうか。

 3月15日以前に二つの申告が出された場合、通常は後から出されたものが前のものに対する「訂正申告」というふうに解する、と通達では言っています。

 すなわち、前に提出されたものは無効となり、後から出されたものだけが有効ということです。

 しかし、法的根拠があるわけではないので、この扱いは納税者の意思がそこにあると推測されるときのことです。

税務署は優しい

 悪意のものでない限り、また「訂正申告」と銘打ってない限り、事前提出の申告書を無効などと税務署は頑なな主張はしないと思いますが、もう少し柔軟な申告制度になってもよさそうに思われます。電子申告の無機質対応にも備えて・・・・・