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2007年3月12日(月)
株券を喪失したときは!
 
 

 株券を喪失(盗難・紛失・焼失・滅失等により株券の所持を失った場合をいい、詐欺・横領により株券の所持を失った場合を含みません)した場合には、平成15年3月までは、公示催告手続きに基づく除権判決を得た場合のみ、株券の再発行を請求できませんでした。

 現行、会社法では「株券喪失登録制度」で再発行手続をとることができるようになっています。


(1)株券を紛失した場合の具体的手続

  株券をなくした人は株券を持っていたことと、なくしたことを証明する資料を会社又はその株式名義管理人(以下、会社側)に提出、株券喪失の登録を請求します。

 会社側はそれを受けて紛失者の氏名と住所、株券番号や喪失登録日などを登録簿に記載します。喪失登録された株券は登録から1年で無効になります。

 逆に言えば紛失から1年後でないと株券は再発されず、売却もできなということです。なお、喪失登録の費用は、4千円から1万円が一般的な相場で、会社側等が自由に決めています。

また、1年以内に株券を見つけた場合、今度は「喪失登録の抹消」の申請が必要です。申請が出れば会社側は喪失登録を抹消し、その上で株券が再発行されます。

(2)名義人を自分に書換えている場合

  注意をしなければならないのは、株主名簿の名義人の書換えです。

 名義人を自分に変更していた場合は、株券をなくしていても再発行までの1年の間は株主総会で議決権行使ができ、配当を受け取ることもできます。

 しかし、逆に名義変更していない場合は、議決権行使も配当の受領もできません。

 また、メリットはこれだけではありません。自分の株券を巡り第三者が虚偽の株券喪失登録の申請をしても、会社からその連絡が受けられるため、登録抹消申請手続きで対抗できます。

 もっとも、2009年には、上場株式については株券の電子化が完全に施行され、株券そのものがなくなるので、上場会社の株券喪失登録制度も廃止されることになるでしょう。