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2007年3月6日(火)
手形・小切手を紛失したとき (その2)
 
 

 今回は、小切手を紛失・盗難した場合の対処方法について述べてみたいと思います。

 小切手も有価証券ですから、所在がわからなくなった小切手が善意の第三者の手に渡ってしまったら、その善意取得者が権利を主張できることは、手形の場合と同様であります。


(1)具体的対処方法

 では、紛失・盗難に遭った場合の具体的な対処ですが、それは、次の通りです。

@ 事故届の提出依頼

 小切手の振出人に連絡をとって支払銀行に対して事故届を出してもらい、銀行に小切手の支払いを拒絶してもらうことが何よりも先決です。

 これがすべてだと言っても過言ではありません。


A 警察への届出

 それと同時に、警察に遺失届を提出して、遺失受理証明書を取得します。

 ここまでは、手形の紛失・盗難の場合とほぼ同様な手続きです。

 しかし、小切手の場合は、実務的には、「公示催告」及び「除権判決」の手続きは取らず、殆どが、銀行に小切手の支払いを拒絶してもらう「支払委託の取消」という手続きで対処しています。

(2)支払委託の取消とは

 支払委託の取消とは、振出人が小切手を振り出した後に、支払銀行に対して、その小切手について支払いをしないで下さいと申し出ることです。

 法的には、小切手の呈示期間経過後でないとその効力は生じません。

 しかし、銀行は、紛失・盗難の届が出ている理由でその支払いを拒否することができますので、実務上は事故届が出ていれば、特段の事情がない限り、原則として、支払銀行は支払いをしません。

 もちろん、線引小切手が前提です。

 そして、小切手が呈示されないまま呈示期間が経過すれば、支払委託取消の効果が生じ、この時点で振出人は小切手の支払義務が消滅します。

 紛失した小切手受取人は、この時点で振出人に小切手を振り出してもらうよう交渉すればよいのです。