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2007年3月5日(月)
手形・小切手を紛失したとき (その1)
 
 

 手形・小切手は有価証券ですから、証券の移転が権利の移転となります。

 従って、証券を呈示できなければ権利(金銭の請求)の主張ができません。

 万が一紛失・盗難に遭ってしまったときは、不測の事態に至らないよう、手形、小切手のそれぞれの特性に応じて対処していかなければなりません。

 そこで、今回は手形についてその対処方法を述べみたいと思います。


(1)手形振出人の義務

 手形を紛失して、その事情を手形振出人に説明し、手形再発行及び手形金を請求したとしても、その履行は期待できません。

 その理由は、紛失・盗難にあった手形でも第三者に善意取得されてしまえば、手形金を請求された振出人はその支払いを拒むことはできませんし、振出人が手形の再発行を拒むのも当然でそんなことをすれば、振出人が二重払いの危険を負うことになるからです。

(2)具体的手続き

  そこで、その対処ですが、手続きは次の通りです。

  1. 事故届の提出依頼・・
    これは、振出人に依頼して手形の支払銀行に事故届を出してもらい、手形の支払いを取り消し、銀行での支払いを拒絶してもらうことです。
  2. 警察への届出・・
    これは、遺失届を提出し、遺失受理証明書を取得することです。
  3. 示催告の手続き・・
    これは、紛失した手形の内容を裁判所に一定期間公示し、その手形の所持人がいたら届け出るように催告する手続きです。
  4. 除権判決・・
    これは、6ヶ月以上の公示催告期間に届出がなかったとき、裁判所は公示催告の申し立てに基づいて、その手形を無効とする判決のことです。

(3)公示催告・除権判決の効果

  そして、この除権判決を得た者は紛失手形の所持人と同一の権利が認められ、判決と引換に手形金の支払いを請求することができます。

 なお、公示催告中に手形の権利を届けた者いる場合は、裁判所によって正当な権利者を決定します。