業務主宰役員の給与に係る損金不算入制度については、複数の会社から給与を受け取っているときは、それらを合算すると有利である、といえますが、その場合の留意点をおさらいしてみます。

　合算対象給与額の規定は、特殊支配同族会社の業務主宰役員であって、業務主宰役員であった期間の給与に限られていますので、全部の給与ということにはなりません。

適用除外会社の給与も合算できるか

　合算対象給与の規定では、損金不算入規定の適用除外要件に該当する、しないを条件としておりません。

　このため、適用除外要件に該当する特殊支配同族会社の給与も合算対象給与額に含まれます。

決算月の異なる合算会社の判定

　合算給与を支給する他の会社が特殊支配同族会社に該当するか否かは、自己の会社の決算日現在の現況で判定なので、結果的に他の会社が非該当会社になったとしても、合算計算に影響はでません。

　ただし、他の会社に係る税務調査等により、現況判断の材料が変化した場合には、自己の会社の判断が正しくなかったことになりますので、合算計算は修正することになります。

決算月の異なる合算給与

　 合算対象給与の会社の事業年度が不一致でも、自己の会社の事業年度内に支払われた給与が合算対象給与になります。

合算計算には計算明細書の添付が必要

　合算計算をするのに、合算可能な給与かどうかの判定をしなければなりませんが、それらの判定要素となる、合算対象給与の会社の株式保有数、役員の氏名や続柄等を記載した申請書を申告時に併せて提出しなければなりません。

　合算計算は有利特例なので、書類添付要件を欠くと、特例適用が否認されます。

　また、期限内申告時での添付が要件で、そこに書いた金額をあとから有利訂正できないことになっているので、申告時での判定には慎重さが要求されます。