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2007年1月29日(月)
採用が広がる株主資本配当率とは!
 
 

 最近、専門誌では、企業間で配当方針に「株主資本配当率(DOE=Dividends on Equity)」を採用する動きが広がっていると伝えています。

 その内容を集約すると、「DOEは年々上昇、株主資本のうち株主に配分される割合は着実に増えている。

 厚めの内部留保を抱え資本効率の改善を急ぐ企業を中心に、配当指標としてDOEを取り入れるところが目立つ」、というものです。

 そこで、過去の我が国企業の配当政策について概観してみます。


(1)「安定配当」の時代背景

  長く続いた株式の額面主義時代に採用された政策で、業績が良くても悪くても株式額面の一定割合で配当するというもので、これが「安定配当」の語源です。

 例えば、額面50円なら1株につき1割の5円の配当という例が多く、株主からは「時価2,000円で、よくこれでご縁(5円)がありましたと言えたものだ」と揶揄されていました。

(2)配当性向の時代へ

  額面主義の考え方が希薄になったころ、株主に対する利益の還元ということで、税引後当期利益に対してどれだけの配当をするか(当期利益に対する配当の割合)、株主への利益還元率を配当性向と呼び、近年では、株主重視の経営の流れに即応し、利益に比例して配当金を増減させる「業績連動型」の配当政策を採用している企業も少しずつ増えています。

(3)株主資本配当率の考え方

 これは、株主からの出資金や利益の内部留保額の合計である「株主資本」のうち、どれだけ配当に回しているかを測る指標(「株主資本配当率=年間配当総額÷株主資本」で、かなり以前からあり、最近注目されだした配当政策ですが、キャピタルゲイン(株式の値上がり)だけでなくインカムゲイン(配当取り)が株式投資のコンセンサスになりつつある時風から脚光を浴びているようです。

  配当性向は、当期利益そのものによって振幅が激しいのに対して、株主資本は短期的にはあまり変動しないので安定的であるという特徴を有しています。