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2006年12月18日(月)
三角合併の解禁と功罪 !
 
 

 最近、「敵対的買収をどう防ぐ、外資、日本子会社を通じ進出」、といったタイトルが経済誌や専門誌でよく見かけます。

 いわゆる「三角合併」です。

 この三角合併が来年5月に解禁されることに起因しているように思われます。

 その仕組はこうです。外国企業A社が日本に設立した全額出資子会社B社に日本企業C社を合併させます。

 その際、日本企業C社の株主には、全額出資子会社B社の自社株式ではなく親会社である外国企業A社の株式を交付します。

 このスキームにより、外国企業からみると自社株を使い日本企業を完全子会社にできることになります。


(1)三角合併の目的は

  企業再編の手段を増やすことともに対日直接投資を促すことにあります。

 わが国は、英国及び欧米諸国に比べて直接投資残高が極めて低調で各国からの批判もあります。

 また、企業や業種によっては、外国企業の資金や経営手法を導入し経営改善につなげることも期待できます。





(2)株主保護及び安全保障の問題

  買収する外国企業が日本の証券市場に上場していない場合、外国企業の株式の交付を受けたわが国の株主をいかに保護するかも重要な課題であり、また、外国企業による日本企業の子会社化がたやすくなり外国に技術が流出する恐れもあります。

 これは、わが国の安全保障上の観点からも何らかの対策が必要ではないかとの指摘もあります。


(3)税制上の課題

  現行の税制では、自社株式(全額出資子会社B社株)ではなく親会社株式(外国企業A社株)の交付は「税制適格要件」を満たさないため、日本企業C社及びC社株主にも課税関係が生じることになります。

  したがって、解禁までには、課税の繰り延べを認める税制改正が要求されます。

  いずれにしても、株主の保護、安全保障に配慮しながら、この三角合併を経済の活性化につなげたいものです。