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2006年12月14日(木)
ハリーポッターはスイスの居住者?
 
 

 最近話題になった、世界的ベストセラーである「ハリーポッター」シリーズの翻訳家の事件があります。

 国税局からおよそ35億円の申告漏れを指摘され、追徴税額は過少申告加算税を含め7億円を超えるということです。

 当人は、5年前、スイスにマンションを購入し、スイスの居住者としてスイスで税務申告するとともに、日本では翻訳料の20%の源泉徴収所得税を納めているとのことで、課税処分を不服として異議を申し立てるとともに、日本とスイスの国税当局に相互協議を行うよう依頼している、と報じられました。


逆転裁決の事件もあります

 過去10年余にわたり、毎年10回から20回に及ぶ日本への入国を繰り返し、日本での平均滞在日数も100日前後という事業者がおり、香港に住所を有し、生計を一にする家族を香港で養っていました。

 ただし、日本国内での生活の拠点として賃借マンションを継続して維持してもおりましたので、国税当局は、もはや非居住者や非永住者ではないのではないか、として各年数千万円の所得及びそれに伴う所得税と無申告加算税とについて、課税決定しました。

 審判所は、居所たる拠点の物理的・経済的な維持が継続されていたとしても、そこでの生活居住は断続的であることからして「非居住者」に該当するとするのが相当であるとの裁決を下し、決定を覆しました。

「年金移民」どういう扱いになるか?

  日本で来年から3年間で定年退職を迎える団塊の世代は810万人に達する、といわれています。

 彼らの退職金だけでも推定50兆円だそうです。

 この資金を狙っているのは日本企業だけではなく、台湾は今年2月、日本の定年退職者を対象に180日間滞在できるビザを設け、フィリピンは今年5月、永住ビザ申請に必要なフィリピン銀行の預金額を50歳以上の場合で5万ドル(約580万円)から2万ドル(約230万円)に引き下げ、マレーシアは長期滞在ビザの更新期間を5年から10年に延ばした、と報道されています。

 そして高齢者の「日本脱出」は高所得者層に限られるどころか、国家財政の枯渇で年金が目減りしているのを承け、生活費が安い東南アジアに生活拠点を移す中流層以下の高齢者が増えるだろうと、予測されています。

 彼らのことを「年金移民」と呼ぶそうです。