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2006年12月12日(火)
永遠の旅人 国税庁が執拗に狙っている
 
 

 最近公表された国税庁のタックスアンサーに「永遠の旅人(Perpetual Traveler,
Permanent Traveler)」という言葉が使われています。1年の間に居住地を数か国にわたって転々と移動する人のことで、「ハリーポッター」シリーズの翻訳家を想定して書かれているように見受けられます。


制度のおさらい

 普通の居住者・世界中で得た所得に課税
非永住者・日本で得た所得と国外で得た所得のうち日本で支払・送金を受けたものに課税非居住者・日本で得た所得のみに課税居住者となるか非居住者となるか、居住者の中でも非永住者となるのか、によって日本で課税される範囲が相当に変わってきますので、納税者の区分はかなり重要です。

「居住者」とは?

  居住者とは、「国内に住所がある人、又は現在まで引き続いて1年以上の居所がある人」をさします。

 今年の税制改正で日本国籍者は非永住者にはならないことになりましたので、非居住者でないと判定されると、全世界所得に課税される普通の居住者となります。

 そして、冒頭のタックスアンサーでは、『いわゆる「永遠の旅人」の場合であっても、その人の生活の本拠がわが国にあれば、 わが国の居住者となります』と述べています。

複数の滞在地がある場合の解説

  こういっています。ある人の滞在地が2か国以上にわたる場合に、その住所がどこにあるかを判定する為には、例えば、住居、職業、資産の所在、親族の居住状況、国籍等の客観的事実によって判断することになります。

 滞在日数のみによって判断するものでないことから、外国に1年の半分(183日)以上滞在している場合であっても、わが国の居住者となる場合があります、と。



「永遠の旅人」は税金避難民

  西行や芭蕉を連想し、あるいはジプシーを連想する、ロマンチックな言葉ですが、自国での高い課税を避けるため、税金が安い国で生活する富豪のことを指す、欧州生まれの言葉です。

  英語圏生まれの人でないと、日本語圏の人間関係から遊離することは、相当に困難なような気もします。

 税金のことだけで、そんな選択をすることは私には到底できません。