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2006年12月4日(月)
税金よもやま話   源泉徴収と年末調整
 
 

昭和15年から源泉徴収が中心の制度に

 昭和15年の所得税の大改正により、給与に対する源泉徴収制度が我が国の税の徴収制度の中心となりました。

 給与に対する源泉徴収制度は、まだ所得税の比重の小さいときは、所得課税というよりも収入課税の性格のものでした。


利子配当給与以外にも源泉徴収が

 報酬・料金等に対する源泉徴収の歴史も古く、昭和19年に外交員の報酬や原稿・作曲等の報酬などに源泉徴収制度が採用され、昭和27年にはプロ野球の選手や競馬の騎手、競輪の選手の報酬等、昭和42年にはプロボクサー、プロレスラー、プロゴルファーの報酬等も源泉徴収の対象とされております。

 プロサッカーやプロテニスの選手、自動車レーサーが受け取る報酬が源泉徴収の対象とされたのは、比較的新しく平成5年の税制改正からです。

 新しいプロスポーツなどが生まれる都度、その報酬に対して源泉徴収の対象とする税制改正が行なわれています。


年末調整制度は戦後から

 給与に対する源泉徴収制度が戦前にすでに中心的制度になるにつれ、基礎控除や扶養控除といった所得控除が月々の徴収の際に考慮されるようになりました。

 変更があった場合には勤労所得者本人が直接税務署に申請書を提出して精算することとなっていました。

 その為、会社が年末に税金を精算する必要がなく、「年末調整」は戦前は未だ存在しませんでした。



昭和22年から年末調整制度が

 終戦後の昭和22年、税務署職員の不足などから給与所得者については、源泉徴収だけでなく、会社が年末に扶養親族などの所得控除を計算して、税額の精算手続きまで行うことが決定されました。

 これが、現在の年末調整の始まりです。


疑心暗鬼ではじまった

 当初国側では、会社側に税金の徴収や精算手続まで実施させると、脱税が横行するのではないかと考えていました。

 その為一定期間後、精算事務は再度税務署が行うという前提で、年末調整はスタートしました。

 しかし、その前提も昭和26年に「年末調整は会社が行なう」と法律に明文化されたことでなくなり、現在の形になりました。