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2006年12月1日(金)
税金よもやま話   所得税導入と源泉徴収
 
 

給与源泉徴収の開始年は昭和15年

 国税庁の「源泉徴収のあらまし」という冊子によると、「源泉徴収制度は、我が国において、利子所得については明治32年から、給与所得については昭和15年から採用されているなど長い歴史を有しており、外国においても多くの国で採用されています 」と載っています。

 日本の所得税は導入が明治20年(1887年)ですから、それと較べると源泉徴収制度の歴史は新しいといえます。


当時の所得税制度は

 当時の課税対象は自営業者と給与所得者で、年収が300円以上の高額所得者に限られ、税収全体に占める所得税の比率も0.8%と、現在とは比較にならないものでした。

 納税者も当時の人口の約0.3%しかいなかった為、「名誉税」とも呼ばれたそうです。

 当時の所得税では、退職所得・譲渡所得・一時所得は偶発的所得として課税対象外であり、税率も、1%から3%の単純累進税率でした。

 明治32年(1899年)に法人所得にも課税されるようになってから、今日の所得課税に近くなっています。

 

 

所得税が中心の制度に

 その後、明治後期から大正時代へと、資本主
義経済の広がりとともに、所得税は国の重要な税財源となってゆきました。

 昭和初期になると戦争の為の財源不足から増税が続き、不足する戦費を安定的に調達するために、国は昭和15年所得税の大改正を行いました。

 このときに給与に対する源泉徴収制度が発足しました。

源泉徴収が中心の制度に

 会社が勤労所得者の給与から徴収した所得税額は、現在と同じように翌月10日までに納付することとなっており、源泉徴収制度は、我が国の税の徴収制度の中心となり、国は前倒しで毎月所得税収入を確保できることになりました。

 これにより、この当時の租税収入に占める所得税の割合は、実に35%になりした。