2006年10月30日(月) |
法令用語の常識? |
税金裁判の判決文を読んでいたら「法令用語の常識」という言葉に出くわしました。 一般に法令において「Aその他のB」という表現を用いる場合は、Aはより広い意味を有するBの例示としての関係にあり、そうである以上、Bの意味内容は、その例示であるAの意味内容の延長上のものとして解釈されるべきだ、という判決なのです。 随分とレベルの高い、難しい常識です。
確かに、月賦、年賦は賦払いの一例です。 これに対し、「の」のない「Aその他B」というときは、AとBは並列で、どちらかといえばAが主でBが従の関係になります。 「恩給、年金その他これらに準ずる給付」というような用例です。 ここでは、AとBは範囲を異にしています。 第二常識 「Aその他のB」というとき、BはAの内容によって限定される、ということです。 判決は、「公益上その他の事由に因り」という法令文をあげて、公益とは無関係な「その他の事由」を列挙するわけにはいかない、と説明しています。 「金銭その他の資産」「不動産その他の資産」というような用例をみると、なるほどと思えるところです。 |
争点は税理士報酬 税理士は弁護士の妻でした。 納税者は「事業に従事したことその他の事由」という法律の条文は雇用などの「従」たる働き方を指しているのであり、妻たる税理士は夫の弁護士とは対等な関係であり、従たる性格がないから、この条文を根拠にした否認処分は正しくない、と主張しました。
平成15年7月16日東京地裁民事三部の藤山雅行裁判長の判決でした。 ただし、高裁・最高裁ではこの第二常識は覆り敗訴しました。 |
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