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2006年10月17日(火)
赤字会社を利用した節税策はシャット・アウトか?
 
 

 ある会社が欠損を有する会社を買収した上でその会社の事業を大幅に変更し、そこに多額の利益を移し、その会社の欠損金の繰越控除を適用したとしても何ら制限を受けません。

 近年、このような欠損金の繰越控除の仕組みを利用し、欠損金を有する会社を買収した上で利益を見込まれる事業をその会社に移すことによって課税所得を圧縮するといった合法的な節税策が多く見受けられるようになってきました。

  そこで、今回の税制改正で、このような租税回避的行為を防止するため、欠損金を利用するための買収と認められる場合に、その買収された会社の欠損金の繰越控除を認めない措置が講じられました。

(1)控除不適用制度の回避策はあるか

  この制度は、赤字会社の発行済株式総数の50%超の株式を買収した場合に適用されます。

 したがって、50%未満の買収か、あるいは、50%超でもその買収が一定の要件を満たす適格合併等であれば当該買収した赤字会社の欠損金は利用できます(一部例外はあります)。

 

(2)適用除外となる事項

  その他、次のような要件の全てをクリアーすれば、原則として、買収した赤字会社の欠損金は利用できます。

  1. 赤字休眠会社を買収しないこと
  2. 旧事業の全てを廃止し、旧事業規模の5倍を超える資金借入等を行わないこと
  3. 第三者から赤字会社の債権を券面額の5割以下で取得し、取得後に赤字会社の債権総額の5割を超え、かつ、債務免除をせずに保有し続け、旧事業規模の5倍を超える資金借入等を行わないこと
  4. 上記@〜Bにおける場合で赤字会社が自己を被合併法人等とする適格合併等を行わないこと
  5. 買収後赤字会社の特定役員の全てが退任し、かつ、20%以上の従業員が退職、旧事業に従事しない事業規模が旧事業の5倍を超えることにならないこと(一定の場合を除く)。