バックナンバー 2006年9月 2006年10月 
 
2006年10月4日(水)
使用人兼務取締役(役員)って何のこと?
 
 

 使用人兼務取締役とは、取締役でありながら、使用人(要するに従業員)の地位も兼務している者をいいます。

 これは、会社法上、使用人であっても取締役を兼務することが認められることに起因します(委員会設置会社を除く)。

 具体的には、取締役と経理部長、営業部長等を兼務している者などが挙げられます。

 こうしたポジションを、会社法上の法律概念で表すと「使用人兼務取締役」という表現になります。

 法人税法では、使用人兼務役員と定義しています。

(1)使用人兼務役員の賞与について

  平成18年の税制改正で支給額・支給時期を事前に税務署へ届け出れば、役員賞与も損金算入が認められますが、使用人兼務役員の使用人分の賞与は届け出る必要はなく損金算入ができ、損金経理の要件も不要です。

 但し、支給時期は、他の使用人と同時期に支給するものでなければなりませんし、支給額についてもその職務に対する対価として相当な額でなければなりません。

 この点は、従前と異なるところはありません。

 

 

(2)使用人兼務役員の歩合給等について

 今回の改正で、役員給与は、一定の要件(@定期同額給与A事前届出給与B利益連動給与)を満たしたもの以外は損金算入が認められなくなりました。

 この結果、役員に対する歩合給は、こうした要件を満たさなくなったことから、早晩、これを定めた通達は廃止されるようです。

 但し、使用人兼務役員に対する歩合給や能率給の支給は、他の使用人と同じ支給基準であれば、これまで通り損金算入できるものと解されます。

(3)使用人兼務役員の範囲

  法人税法では、使用人兼務役員になれない者として、代表取締役や社長、専務、常務その他これらに準ずる職制上の地位を有する役員のほか、同族会社の役員のうち一定要件を満たす株主グループに属する役員を挙げています。