今回は“買掛金”の仕訳についてお話します。
“買掛金”とは前回お話した“売掛金”のちょうど反対の言葉で、仕入代金を後で払う約束をした金額を言います。基本的には、“売掛金”と同じように処理を行えば問題ありませんが、支払先によって締め日が異なっていることが多く計上には注意が必要です。例えば、20日締めの場合、先月21日から当月20日までの分を請求されることになります。
決算が末日決算の場合、決算月の21日から末日までの金額を締後金額として計上します。決算処理において一事業期間の損益を計上する必要があることから、このような処理が必要となります。また、月次においても売上総利益(粗利)を把握するためには、売上(月末締め)に対応した仕入の金額を計上しなければならないことになります。
さらに、売上総利益(粗利)を正確に把握するためには、締後金額の計上だけでなく在庫の計上も行う必要があります。実際に仕入はしているがまだ売れていない商品を在庫として計上します。在庫に計上することで、まだ売れていない商品分の金額は仕入金額から除かれ、売上に対応した金額のみを仕入れとして計上することとなります。決算では必須の作業となります。
毎月の損益を出す際には、締後金額や在庫を計上することは理想であるものの、計算するのに事務作業が多いため把握することが困難な場合もあります。特に製造業等における在庫金額は原価計算を行わなくてはならず、事務作業は格段に多くなります。締後金額や在庫の計上は金額の重要性や事務負担など総合的に考える必要があります。ただし経営判断のためには、概算としてでも計上していく体制を整えていくことが肝要です。
それでは締後を含めた買掛金と在庫の仕訳を起こしてみましょう。仕訳例では締後や在庫を洗替法で計上しています。
当月20日締め買掛金発生金額 14,000,000円
前月21日〜末日買掛金発生金額 5,200,000円
当月21日〜末日買掛金発生金額 6,400,000円
前月商品在庫金額 2,900,000円
当月商品在庫金額 3,600,000円
<仕訳例>
借方 貸方 金額 摘 要
仕入 買掛金 14,000,000 当月買掛金計上
買掛金 仕入 5,200,000 前月締後戻し
仕入 買掛金 6,400,000 当月締後計上
期末商品棚卸高 商品 2,900,000 前月商品在庫戻し
商品 期末商品棚卸高 3,600,000 当月商品在庫計上