[回答]
法人税の考え方におきまして、法人の使途秘匿金課税が設けられた趣旨は、企業が税務当局に対し相手先の氏名等を秘匿するような支出は、違法ないし不当な支出につながりやすく、それがひいては公正な取引を阻害する可能性があり、このような支出を極力抑制する見地から、一定期間、政策的配慮のもとに設けられた税制上の措置です。
使途秘匿金とは、法人が支出した金銭の支出(贈与、供与その他これらに類する目的のためにする金銭以外の資産の引渡しを含みます)のうち、その相手方の氏名又は名称及び住所又は所在地並びにその事由をその帳簿書類に記載していないものをいいます。
ただし、次のものは、使途秘匿金に含まれません。
- 相手方の氏名等を帳簿書類に記載していないことに相当の理由があるもの
- 資産の譲り受けその他の取引の対価として支出されたもの(当該取引の対価として相当であると認められるものに限ります)であることが明らかなもの
- 相手方の氏名等を記載していないことが相手方の氏名等を秘匿するためでないと税務署長が認めたもの (措置法62条2項3項)
費途不明金とは法人が交際費、機密費、接待費等の名義をもって支出した金銭でその費途が明らかでないものをいいます。(基通9−7−20)
そしてそれぞれ法人税では次のような取り扱いとなります。
使途秘匿金・・・その支出額の40%について追加課税となります。
(措置法62条1項)
その支出額そのものも法人税の計算上損金とはなりません。
費途不明金・・・その支出額そのものが法人税の計算上損金とはなりません。
したがいまして、使途が不明瞭なものは損金とならないだけでなく、相当な理由が無く相手方や内容を明らかにしない場合には、追加で税金がかけられることとなります。