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◇新着税務情報◇
  〜新会社法〜
  通達整備により明確になった「特殊支配同族会社の役員給与」
 

[相談]

  先般、平成18年度の改正に対応する法人税基本通達が整備され、発表されました。

 そこで、今回の通達整備により、「特殊支配同族会社の役員給与」に関して新たにその取扱いが明確になったことは何でしょうか。

また、明確になったことにより注意すべき点はありますか?簡素に、かつ、分かりやすく教えてください。

 

 

[回答]

  平成19年3月13日付「法人税基本通達等の一部改正について(法令解釈通達)」により、特殊支配同族会社の役員給与に関して新たな通達が整備されました。 

1.業務主宰役員の意義(法人税基本通達9−2−53)
  業務主宰役員とは、会社の経営に最も中心的に関わっている役員1人のみ
  を指します。
  
  今通達において、「最も中心的に関わっている」というのは、

   ・事業計画の策定、多額融資契約の実行、人事権の行使等における意思    決定の状況
   ・役員給与の多寡 他

   を総合的に勘案して判断するとされました。


2.基準期間における期末業務主宰役員等の判定
   (法人税基本通達9−2−57)
   基準期間に含まれる各事業年度の途中で、業務主宰役員の移動があっ
   た場合は、当該基準期間に含まれる各事業年度の終了時にて判断を行
   います。

   ただし、異動前の業務主宰役員が、異動後の業務主宰役員と特殊関係に   ある場合は、2人の給与を合算した金額を「当期支給した業務主宰役員   給与額」とします。

3.常務に従事する役員の意義(法人税基本通達9−2−54)
  常務に従事する役員とは、会社の経営に関する業務を、実質的にも、日  常経常的にも行う役員をいいます。
  今通達においては、以下の場合は「常務に従事する役員に該当しない」  とされました。

    ・使用人兼務役員については、単に取締役会に出席するという意思決        定への参画だけである場合
    ・使用人兼務役員については、使用人部分の給与が役員としての給与     よりも多い場合
    ・会計参与や監査役

4.特殊支配同族会社の判定(法人税基本通達9−2−55)
  特殊支配同族会社に該当するかどうかを議決権数によって判定する場合
  に、個人又は法人との間で、同一の内容の議決権を行使することに同意
  する者がある場合は、その同意しているものの議決権も所有しているこ  ととみなすことになっています。
  今通達において、「同一の内容の議決権を行使することに同意している  者」とは、契約、合意等により同意している事実があるかにて判定するとし
  ています。

5.基準期間に含まれない事業年度等(法人税基本通達9−2−56)
  特殊支配同族会社の当該事業年度開始の日前3年以内に開始した各事
  業年度のうちに、特殊支配同族会社に該当しない事業年度があった場合
  は、その事業年度以前については基準期間に含めないことになっていま
  す。

6.損金不算入額の特例計算に関する書類の書式
   (法人税基本通達9−2−58)
  特殊支配同族会社の役員給与の損金不算入額の特例計算にて、「合算
  対象給与額その他の財務奨励で定める事項について記載した書類」は、  「特殊支配同族会社の役員給与の損金不算入額の特例計算に関する明
  細書」と、合算対象給与額の支給額を証するものも作成・添付しなければ
  なりません。