[回答]
1.事業所得の計算
事業所得の計算において、「収入金額を返還した」ものと考えます。
上記の場合の必要経費に算入する時期は、「その損失の生じた日の属する
年分の事業所得等の金額の計算上必要経費に算入すること」と定められて
います。したがって、所得税法上の事業所得の計算については、昨年の事
業所得の更正の請求をするのではなく、当年の必要経費として処理してい
ただければ良いと思われます。(参考:所法51(2)、所令141三)
2.患者の税務処理について
患者が昨年の確定申告時に医療費控除を行っていた場合、返金された30万
円は医療費控除の対象とはなりません。
医療費控除の対象となる医療費の要件として、「医師又は歯科医師による
診療又は治療の対価」と定められています。今回、返金する金額は「返金
を通知した時点」で医療費からは除かれるものとなります。
そのため、返金する金額を訂正するために修正申告が必要となってきます。 ですが、医療費控除を行っていないケースも考えられます。
医療費を補填する保険金等の給付を受けていた場合です。
医療費控除では「保険金等で補填しきれない部分の医療費の額のみが医療
費控除額の計算の基礎とされる」と決められています。この場合、医療費控
除の計算の基礎となる金額が10万円以下のケースも考えられます。
この時は元々、医療費控除を行っていませんので、修正申告の必要はないと
思われます。(参考:所法73、所令207)