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◇新着税務情報◇
  〜経費〜
  治療費の返金について
 

[相談]

 私は、歯科医院を営む個人事業者ですが、昨年治療した患者について、結果的に治療がうまくいかなかったため治療費の全額返金をすることになりました。

この治療費は約30万円かかっているため、患者側は確定申告で医療費控除の適用を受けたものと思います。また、この治療費は前年の私の事業所得の計算上、収入金額として計上しています。返金は今年行う予定ですが、事業所得の計算において、どのように対処すればよいのでしょうか?

 また、患者の税務処理についても説明してください。

 

 

[回答]

1.事業所得の計算

  事業所得の計算において、「収入金額を返還した」ものと考えます。
  上記の場合の必要経費に算入する時期は、「その損失の生じた日の属する
  年分の事業所得等の金額の計算上必要経費に算入すること」と定められて
  います。したがって、所得税法上の事業所得の計算については、昨年の事
  業所得の更正の請求をするのではなく、当年の必要経費として処理してい
  ただければ良いと思われます。(参考:所法51(2)、所令141三)

2.患者の税務処理について

  患者が昨年の確定申告時に医療費控除を行っていた場合、返金された30万
  円は医療費控除の対象とはなりません。

  医療費控除の対象となる医療費の要件として、「医師又は歯科医師による
  診療又は治療の対価」と定められています。今回、返金する金額は「返金
  を通知した時点」で医療費からは除かれるものとなります。

 そのため、返金する金額を訂正するために修正申告が必要となってきます。 ですが、医療費控除を行っていないケースも考えられます。

 医療費を補填する保険金等の給付を受けていた場合です。

 医療費控除では「保険金等で補填しきれない部分の医療費の額のみが医療
 費控除額の計算の基礎とされる」と決められています。この場合、医療費控
 除の計算の基礎となる金額が10万円以下のケースも考えられます。 

 この時は元々、医療費控除を行っていませんので、修正申告の必要はないと
 思われます。(参考:所法73、所令207)