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  〜税金・申告〜
  医療法人に株主資本等変動計算書は必要ですか
 

医療法人の法人税確定申告書に利益金処分計算書を添付していましたが、これに代わって株主資本等変動計算書を添付するのですか?

 

医療法人は、株主資本等変動計算書を添付する必要はありません。

法人税の確定申告書の添付書類は、基本的に、次のものとなっています。
  (法74(2)規35)

  1. 当該事業年度の貸借対照表
  2. 当該事業年度の株主資本等変動計算書又は損益金の処分表 
  3. 1に掲げるものに係る勘定科目内訳明細書 
  4. 当該内国法人の事業等の概況に関する書類

 会社法では「株式会社は、法務省令で定めるところより、各事業年度に係る計算書類(貸借対照表、損益計算書その他株式会社の財産及び損益の状況を示すために必要かつ適当なものとして法務省令で定めるものをいう。)及び事業報告並びにこれらの附属明細書を作成しなければならない。」と規定しています。(会社法435)

 会社法の計算書類関係で実質改正が行われ、従来の利益処分(損失処理)案に代えて、「株主資本等変動計算書」を作成しなければならないこととされました。

 よって、会社法施行後は、決算書とは「貸借対照表、損益計算書、株主(社員)資本等変動計算書、事業報告、附属明細書」を指すこととなりました。

 ただし、会社法における会社とは、株式会社(特例有限会社を含む)、合名会社、合資会社、合同会社とされています。(会社法第2条第一項)

 医療法人は、医療法の規定に基づき設立される法人であり、今般施行された会社法の影響は特にありません。従って、株主資本等変動計算書の添付も求められていません。

 そもそも、医療法人の会計は、医療法における届出義務において、財務諸表の種類が定められているにすぎず、具体的な会計基準は存在しません。

 医療法人が運営する民間病院においては、会計年度終了後2カ月以内に貸借対照表や損益計算書等の財務諸表を都道府県に届け出る義務がありますが、その際には、病院会計準則に基づいて作成することが望まれます。

 この病院会計準則適用ガイドラインは、開設主体間で比較可能な会計情報とするために、開設主体の会計基準との関係で各法人が病院会計準則の各条項をどのように適用すべきかを示しています。

 この病院会計準則適用ガイドラインは、平成16年の改正によって、財務諸表体系が見直されました。

 従来の病院会計準則において、病院が作成すべき財務諸表は、次の4つから構成されていました。

  1. 損益計算書 
  2. 貸借対照表 
  3. 利益処分計算書又は損失金処理計算書
  4. 附属明細表 

また、重要な会計方針や後発事象、その他の事項に関しては注記が求められていました。

 しかし改正後の病院会計準則では、施設会計基準であるため上記、3.利益処分計算書又は損失金処理計算書は、財務諸表としないとされています。

 従って、医療法人は、法人税確定申告書には「損益金の処分表」を添付することになります。